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Junk Mind D.N.A.

ことばがかいてあります。

きれいなことば

あなたのことば

わたしのことば

嘘ばかり



掌に刻まれた、たくさんの小さな傷痕。
鏡に映った顔に残る、皺やシミ。
腕を上げれば背中が痛むし、立てば膝が痛い。

体のあちこちに残った、生きてきたという証。

嘘をひとつ吐く度に、大人になった気がした頃。
嘘をひとつ吐く度に、嫌な人間になっていた。

そして今では、嘘なしに自分自身を語ることさえ難しくなっている。


私が語る言葉にどれほどの意味があろうとなかろうと
その言葉を耳にする人は(少なからず)存在する訳だし、
そこに込められた誠意の量までは
多分言葉だけでは伝わりはしない。

自分を守るためだけに吐いた嘘でも。
それ以外の嘘でも。


時として文章は私を楽にしてくれる。
私が書いた文章は、私を裏切りはしないから。
当たり前だ。
私は、私自身に愛されるために文章を書いていたのだから。
情けなくて、笑う気にすらなれないけれど。

今、私が書く文章は、私以外の誰かも目にすることが出来る。
誰かに読まれるということ。
読んでもらえるという喜び。
読まれてしまうという恐れ。
読んでもらえるかもしれないという期待。
読まれやしないという絶望。
あらゆる可能性から、あらゆる感情が湧き上がる。

ただ「文章を書く」という行為だけで、
生きている全てと等しいくらいの感情が
そこに、刻まれる。

口下手で内向的な私にとって、これ以上の悦ばしいことなんて、他にない。


ならば、と思う。
得られるのなら、ゼロでないのなら、と。
何故もっとがむしゃらに、他の全てを投げ打ってでも、
文章を書き続けないのか、と。

恐れているからだと気づいているのに
何度も自分に問いかける。

違う答えがあるのだと、そう期待している。


物語を、ただそれだけの理由以外で使うこと。
物語に、想いの全てを込めること。
物語と、真正直に向き合うこと。

今の私に欠けている、何か。


綺麗な言葉は好きだ。
嘘であれ、偽りであれ、そこには人を惹きつける何かがあるから。
それはまるで、真夏の夜の誘蛾灯。

汚い言葉も好きだ。
飾られることのない、そのままの言葉。
ありのままの感情を、根本から伝えようとしている。
まるで、母親に叱られ、頬を張られたときのように
私の目を覚まさせる。


命の意味ですら、浄・不浄で測ろうというのなら。
そこにはきっと、主観以外の物が入り込む余地なんてない。



あなたのくちびる
やわらかなくちびる
ぼくはゆびでふれる
かたいゆびさきでふれる


そして私は気付くのだ。
「ああ、俺は今日までクソったれで生きてたけど、
 だから、本当に良いものが分かるようになってたんだな」と。
いつものように、斜に構えた笑顔を浮かべて。

ポケットに突っ込んだ手を、そっと外気に晒して。
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  1. 2008/10/30(木) 21:23:49|
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