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Junk Mind D.N.A.

ことばがかいてあります。

こんな、静かな夜に

一日を終わらせることの出来ない
こんな渇いた夜に
文章に何かを求めるなんて
本当は
正しくないのかもしれないけれど


日々の生活に追われ
何を求めて此処に居るのかも見失い
声も出ず 届かず
また聞こえず
ただ夜が更けてゆくだけの
こんな時間を
僕は今まで どれだけの数
繰り返して来ただろう?

それはきっと
咲き誇る桜を見上げた回数よりも
ずっと多い

眠れない夜の度に
朝の訪れを恐れて来た気がする
切り離された時間
夢を見ることすら赦されない時間
ゆっくりと 身を削られてゆくような
緩慢な喪失感

何かと良く似ている

文章にするべきじゃない
残しておくべきじゃない
きっと誰も見ないし、自分ですら見返すことはないと思う
それに、誰も幸せにならない
誰も幸せに出来ない

足枷を誇る奴隷のようには、
決して、成りたくはなかったのに。

後悔をしている。
取り戻せない日々に、後悔を。
憧憬を抱いている。
二度と得られない感情に、憧憬を。
諦観している。
自分自身に。

だから希望に縋りつく。

雨音が
肌から沁み込んで
骨と肉とを引き剥がしている気がする

吐息すら洗われる
こんな雨の夜だから
眠れない

見たことのない景色に
希望を抱いているのなら
出逢ったことのない人に
期待を持っているのなら
それは「明日」とどう違う?

同じ苦しみを味わっている
違う人たちに
いつか笑顔を取り戻せるのなら
この苦しみすらも
ただの糧

どうしてこんなところにいるのだろう?
僕にはもう、ずっと、
やりたいことがはっきりと在るはずなのに。

今日を終わりに出来ないで
昨日を悔やみ続け
明日の訪れを拒むのなら

誰にも知られず
誰にも見られず
緩々と狂ってしまえたなら

この掌の意味も
両足の価値も
命の理由も
次への祈りも
あらゆる全てを
無価値に出来てしまえたら

失われゆく熱量が
永遠なのだとしたら

そして僕は眠れない夜の中で、
何度も繰り返し考え続けて来たことを
また考える。思い出す。
どうして文章を書くことを選んだのか。
どうして文章を書くことを続けているのか。
どうして文章を書くことを辞めてしまわないのか。
どうして文章を書くことを諦めないのか。

どうしてこんなにも
たくさんの物語を
思い浮かべてしまうのか

真夏の焼けたアスファルト。
白く煙るような日差しから逃げるようにして、
切り絵のような木陰に座る。
見上げるのは、雲。色が抜けてしまったかのような雲。
雲にも影があることを、改めて知る。
そして、空の青さに濃淡があることを知る。
誰かに話したくなって、再び日差しの下へ。
汗をかいて。笑顔で。息を切らせて。
真夏の日差しの真ん中で、空を見上げる。
黒いほどに青い空は、何かに例えることすら出来ない。
ただ、強い。
本当に力強い、空の青さ。
焼けたアスファルトの上を、風が吹き抜ける。
土の匂い。水の匂い。木々の匂いと草木の匂い。
枝葉が擦れ合う音。自分の靴音。
鳴り止まない、蝉の声。

降り出した雨に顔をしかめながら、貴女は歩くだろう。
けれど、傘は差さない。持っていない。
やがて道辻には傘の花が溢れ、貴女は居場所を見失う。
けれど、貴女に傘はない。
奥歯を噛み締める。
足取りを速めず、奥歯から力を抜かず、真っ直ぐに前を見据えて
貴女は歩き続ける。
信号が赤に変わり、貴女は胸を張ってそこに立つ。
決して振り返らない。
雨は降り続けている。
そこで気付く。
絶え間なく降り続くはずの雨粒が、
等間隔ではないことに。
横断歩道に出来た水溜り。小さな波紋。塗り潰す車。
雑踏と喧噪。傘を叩く雨の音。
誰かの傘を叩く、雨の音。
貴女は2秒だけ、目を閉じる。
濡れた前髪をかき上げるために。
手の甲に落ちる、雫。
貴女は自分の名前を思い出しながら、目を開ける。
信号は、青。
押し出されるように歩くよりも、
自ら飛び出すことを選ぶだろう。
貴女は名前を思い出した。
降り続く雨の中。
傘を忘れた日に。

ジャングルジムに登れた日のことを、思い出した。
丘の上の、小さな公園。
自分が子供の頃には、古い廃屋だった場所。
久し振りに訪れたその場所には、小さな公園。
あるのは、ジャングルジムとブランコ。
子供はいない。
いたずら心を刺激されて、ジャングルジムに登る。
ものの数秒で、頂上まで。
そこに腰掛けて、街を見下ろす。
子供の頃に思っていたよりずっと、隙間のない街を。
何が変わってしまったのかなんて、分からない。
けれど、こうしてジャングルジムの上に居ると
時間が流れたことだけを実感出来る。
普段よりも高い視点。開けた視界。
そして思う。
何がどう変わったとしても
こうして見上げる空だけは
いつまでも変わることはないのだろう。
子供の頃はなかった公園。
丘の上の、小さな公園。
久し振りに通った道で見つけた
お気に入りの場所。
スカートを翻し、飛び降りた。

ただ、走り続けている。
目的地なんて、どこにもない。
ぐるぐる、ぐるぐると、同じ場所を走り続けている。
並んで走る人もいない。追う背中もない。
ただ、ひとり。走り続けている。
加速している鼓動。脈動。命の動き。
焼けた喉と、痺れる両足。
これ以上は無理だよと、ちゃんと教えてくれる体。
でも、走り続ける。
これは、罰なのだから。
あの日間に合わなかった、自分自身への。
誰も責める人はいない。
誰も同情する人はいない。
誰も知らない。あの日のことを。
ただ、私は間に合わなかった。
それが、赦せない。
だから走る。罰なのだから。
私は、間に合わなかったのだから。

トラックを見下ろす非常階段で、俺は煙草に火をつける。
最初は刺激的だったこの行為も、慣れてしまえばどうってことはない。
ただの、繰り返される日常の1カット。
フィルムの1コマでしかない。
立ち上る煙が、時折目に沁みる。
ここから見えるのは、剥き出しの地面。
この、ぎゅうぎゅう詰めの街でぽっかりと空いた隙間。
誰もいないはずのトラックを、ひとりだけ駆けている少女がいる。
いつのも光景。見慣れた風景。
ランニングシャツと、ハーフパンツ。それに、陸上用のスパイク。
短い髪を弾ませながら、一定の速度で駆け続けている。
表情は、見えない。見たいとも思わない。
この距離でも分かることがある。
アイツは、逃げ続けているということ。
何に追われているのかは、興味もない。
あんな風に走るヤツに、興味はない。
ただ、視界に入って来るだけ。
絵にもならない。
煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
溜め息のように吐き出した煙は、風に消される。
逃げ続けている少女。
そんな言葉を、頭の中で繰り返し思う。
嫌な気分だった。
俺は違うと、言い切れないところが。
そして、あの少女が走り続けているということが。
俺は止まっている。
少女は走り続けている。
お互い、何処にも行けない。
違うのに、同じ。
同じなのに、違う。
空を見上げようとして、止めておいた。
空なんて、いつでも見られるから。
煙草を押し消して、携帯灰皿へと放り込む。
非常階段を降りながら、愚にもつかないことを考えていた。
声をかけたらどうなるのだろうか、と。

こうして夜は更け
まだ今日を終わりに出来ない僕は
誰に見せる宛てもない物語を
ひとつひとつ 積み重ねてゆく
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  1. 2010/05/12(水) 01:41:04|
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