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Junk Mind D.N.A.

ことばがかいてあります。

Call my name.

溶け出したアスファルトの上
流れる汗を笑顔で拭って
雲の影を追いかけていた頃

見上げた空は
いつだって
真っ青だった


そんな夢を見ていた


空の青さが失われると共に
僕らは大人になってゆく

雨の予感に胸を高鳴らせたり
土の匂いにまみれて走り回ったり
森の全ての生き物と遊んだり
笑ったり 怒ったり 泣いたり

そういうことを失いながら
僕らは大人になる

一度だけ川沿いの道で蛍を見たことがあった
蚊取り線香の匂いと、木の幹に打ち付けた額の熱さ
距離感がおかしくなりそうな水の音と、虫の声
錯覚のように瞬く冷たい光

それが養殖場から逃げ出した蛍だったのだと知ったのは
世の中の全てが間違っていると思い込んでいた時期だった

友達が一人増える度に世界が広がった気がした
知らない道が一本減る度に楽しみが増えた
本を読んで言葉を覚えて
ケンカをして痛みを知った
ゲームをするよりも、バスケをする方が楽しかった

気がつけば、友達が一人また一人と減っていった

孤独を嘆かなくなったのはいつからだったろう
孤独を求めるようにして逃げ込んだのはいつからだったろう
好きな人がいなくなったのはいつからだったろう
一人でも笑えるようになったのは
いつからこうなってしまったのだろう

空の色が青くなくなったのは
いつのことで 誰のせいで 何のせいで

理由が無ければ何も出来なくなってしまったのは
どうしてなんだろう

夢を見ていた
空を見上げている夢を
坂道の途中で足を止めて
木々の間を抜ける風の音を聴いて
プール帰りの濡れた髪の毛を気にしながら
車の通ることのほとんどない道の真ん中で
空を見上げていた

空は押し潰されそうに広くて
吸い込まれそうに青くて
その青は濃く、黒くすら感じられて
世界の広さも知らなかった僕は
ただ 恐怖していた

街路樹の葉が揺れる
ゆっくりと 穏やかに
気だるそうに揺れる
それはきっと 雨の予感
肌にまとわりつく風が
枝葉をすら 眠らせる

夢を見ている
目覚めはベルの音じゃない
誰かが僕を呼ぶ声
とても嬉しそうに僕の名前を呼んで
最高の笑顔でこう言ってくれる

「ばーかっ!」

あの頃の気持ちは取り戻せなくても
あの頃の記憶はちゃんと残っているから
僕はまだ 書き続けていられる
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  1. 2006/05/16(火) 02:20:44|
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